Story
昔の人は月に海があると
思ってたんだって。
月にも生き物がいるって
信じてたんだろうね。
都内の一軒家。
結月静子は、5年前に家を出て行った
夫(豊)の母・晴江と二人で暮らしている。
晴江は3年前から認知症を患い、静子の名前すら覚えていない。
行方不明の豊を探し徘徊を繰り返す晴江。
静子は義母の介護に追われる日々を送っていた。
そんなある日、近所で盗難事件が発生。
怪我を負った窃盗犯・小暮大輝は結月家に身を隠すが、静子に発見される。
叫ぼうとする静子の口を封じる大輝。
必死に抵抗する静子。
二人に近づいて行く晴江にも身の危険が迫る。
しかし彼女が発した意外な一言から、
結月家に一筋の光が差し込み始める・・・
Director's Comment
監督コメント
「月の海」は月に海があると信じる家族の物語です。
認知症がすすむ義母の介護をする主人公・静子はかつて愛があった生活がもどってくることを願い、次第に周囲から孤立して行ってしまいます。
私たちは、だれもが向き合う介護の現実を背景に、ともすればその尊厳さえ奪われてしまう“老い”を、 ささやかなつながりから生まれる家族の姿を通してかけがいのない生命として捉え直したいと考えました。
私たちの願いを映し出す月に、想いを馳せて。